「今日の国会論戦は論点がぼやけていたのか,質問するほうも答えるほうも
要領を得ずだったね」と使う。
要領を得ず(ようりょうをえず):物事のいちばん大切なところをつかんでいないたとえ。また,何が何だかよくわからないこと。出典史記(新明解故事ことわざ辞典)
国会で漢字検定が行われた。読みの問題である。(出題・解答は文末参照)しかし重要なのは意味で考えるべきなので出題文『強い日本を!私の国家再建計画』(文藝春秋2008年11月号)を読んでみた。引用文は長文で修飾語が多いため論理を整理して読み下した後,解釈を試みる。
『総裁選における7割の得票は望外であり,
就中,地方での圧勝は私の宝だと思ったが所詮準決勝でしかない。』
>宝が所詮○○なしとはえらく軽いものだったらしい。そのわりにまだ決勝戦は始まっていない。
『決勝戦たる総選挙で我々が勝たなければならい。危機(=衆参のねじれ)から逃げ、あるいは
唯々諾々と政権を手放せば、国の舵取りを過つことになる。』
>ねじれは国民の選択の結果であり,逃れることはできないし,逆らうこともできない。
『Japain【日本の苦悩(失われた10年)】と
揶揄される日本の存在感の低下は国家に対する国民の信頼感を痛めた。』
>政治が苦悩を生み,信頼感を低下させたのである。存在感の低下が信頼感を痛めるというのは論理的でない。
『もう一度国民の審判を仰ぎたい。日本経済を再生し改革を続行する見取り図と手だてを提起するのは
畢竟、そのためである。』
>国民の審判を受けるためか,日本経済を再生するためか,改革を続行するためか畢竟,目的はなんだろう。
『国民の真剣なまなざしは,衆参ねじれの危機を解決して強い政治に立ち戻れ,と希求する
叱咤激励の視線だと私は思った。』>まなざしは視線に違いないが,大声は出せない。希求するのは弱い立場の者,激励するのは同位か強い立場の者である。国民の視点をどの位置に置いているのかわからない。
全部で12あるようだが,疲れたので明日に続ける。昨日は17条の憲法で涙が出てきたが,今日は欠伸しか出ない。
1.
就中(なかんずく):(ナカニツクの音便)その中で。とりわけて。特に。(広辞苑)
2.
唯々諾々(いいだくだく):事のよしあしにかかわらず人のことばに従うこと。「唯」は「はい」とつつしんですぐに答えることば。「諾」は「はい」とゆっくり答える。(新字源)
3.
揶揄(やゆ):手をあげてからかう。あざける。「揶」からかう。あざける。「揄」①ひく②ほめそやす③からかう。なぶる。(新字源)
4.
畢竟(ひっきょう):終局の意。つまり。結局。「畢」①あみ②かり③星座の名④おわる⑤つくす⑥ついに⑦ことごとく「竟」①つきる②おわる③きわめる④わたる⑤ついに。(新字源)
5.
叱咤激励(しったげきれい):「叱咤」大声でしかりつける。大声でどなる。(史記淮陰侯伝)「激励」はげます。つとめはげむ。(新字源)
6.
中興の祖(ちゅうこうのそ):「中興」おとろえていたのがふたたびさかんになること。「祖」④物事のもとを開いた者。(新字源)
7.
窶し(やつし):「窶」まずしい。やつれる。やせおとろえる。(新字源)
8.
朝令暮改(ちょうれいぼかい):→
朝令暮改を見てください。
9.
愚弄(ぐろう):人をばかにする。あなどってなぶりものにする。「愚」①おろか④あなどる「弄」①もてあそぶ,ほしいままにする。(新字源)
10.
合従連衡(がっしょうれんこう):その時の利害に従って、結びついたり離れたりすること。また,時勢に応じて巧みに計略をめぐらす政策、とくに外交政策をいう。合従=縦に合わせる意で、南北の同盟をいう。連衡=横に連なる意で、東西に連合すること。(新明解故事ことわざ辞典)
11.
乾坤一擲(けんこんいってき):運を天にまかせ,のるかそるかの大勝負をすること。天下をかけて一回さいころを投げる意から。乾坤=「乾」は天、「坤」は地の意(新明解故事ことわざ辞典)→
類を以て集まるを見てください。
12.
面目躍如(めんもくやくじょ):「面目」③体面,世間の人に対する顔「躍如」①おどりあがるさま。(新字源)