2009年01月29日

(ら)雷同

「賢者は,協調はするが雷同はしない。愚者は、雷同はするが協調はしない。」

付和雷同(ふわらいどう):自分にしっかりとした考えがなく,軽々しく他人の意見に同調すること。単に「雷同」ともいう。付和=わけもなく他人のことばに賛成すること。雷同=雷が鳴ると万物がそれに応じて響く意から,むやみに他人の言動に同調すること。出典禮記
(新明解故事ことわざ辞典)

雷が鳴ると万物が響くのだろうか。驚いてすくんでしまう気もする。原文を調べてみた。

『將が席に即(つ)くときは,容(かたち)を怍(は)じないように。両手で衣の尺を齊(そろ)えてからげ,衣を撥(は)ねず,足は蹶(つま)づかず。先生が書や琴に向かわれているときは,遷(うご)くことなく坐り,ものをとび越えてはいけない。..長者は言葉を儳(おざなりに)しない。容(かたち)を正しくし,恭しく聴きなさい。..』

どうも礼儀作法の話のようである。そのあとに【毋剿說,毋雷同。】と続く。
【毋剿說】は「演説を剿(さえぎ)らず」が続きそうだ。そして【毋雷同】は「同(あつまり)では雷(大声)をださない。」くらいが適当ではないだろうか。
礼儀作法の話が,ここにきていきなり「他人の意見に同調..云々」などでは,大仰すぎるし,主体があいまいになる。「雷同」の本来の意味は「人の多い所で大声を出す」ことだったのではないだろうか。

熟語として「雷同」と一緒に使われる言葉に「付和雷同」がある。「附和雷同」と書かれる場合もある。ただし「不和雷同」は間違いとされている。
実はこの「フワ」の語源ははっきりしていない。「雷同」の意味があまりに限定されたため,うまく説明できないのかも知れない。
ところが,「同」が集まりで「雷」が大声だとすると,今は劣勢の「不和雷同」が俄然,真実味を帯びる。ずばり「和せず怒鳴り合っている集合」なのである。

「雷同」は,二股膏薬のごとく定見節操のない政治家と野次と罵声だけが得意な政治家をひとくくりにする。愚者の政治はまだまだ続く。

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【將即席,容毋怍。兩手摳衣去齊尺。衣毋撥,足毋蹶。先生書策琴瑟在前,坐而遷之,戒勿越。虛坐盡後,食坐盡前。坐必安,執爾顏。長者不及,毋儳言。正爾容,聽必恭。毋剿說,毋雷同。必則古昔,稱先王。】禮記曲禮上




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この記事へのコメント
 私のように「雷同はイヤがるが、協調にも逡巡する」人間は、阿呆! とでも言うのでしょうか?(笑) ごめん、決して茶化していませんので、ご理解を・・・。麻生さんの雷同と協調はどうかな? と考えてしまいました。警句を、いつも、有り難うございます。
Posted by 夢想花夢想花 at 2009年01月31日 23:31
>夢想花さん
いつもコメントありがとうございます。
夢想花さんは詩人ですねぇ。
決して阿呆なんかではありませんよ。
魂を削りながら真理を求めていらっしゃるのでしょう。
Posted by ゴンチゴンチ at 2009年02月01日 00:24
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