2009年01月09日

(ろ)壟断(ろうだん)

【有賤丈夫焉,必求龍斷而登之,以左右望而罔市利。】出典:孟子(公孫丑下)

『賤丈夫有り、必ず壟断を求めて登り、左右を望みて市利を罔せり。』 と読み,意味は 『いやしい男が高い所から市場を見下ろして商売に都合のよい場所を見定め、利益を独占した(Yahoo辞書大辞泉)』 である。

ところで,壟断とは 『岡の断ち切ったようにそびえたところ(広辞苑第二版)』 らしいが,いくら金儲けとはいえそんな危険なところを登るのか?と疑問に思い調べてみた。
壟は 『①うね..②つか..(新字源二八一版)』 で人工のこんもりした盛り土のことのようだ。そびえるには低すぎる高さである。
それに断崖や断層など 『断某』 であれば(高さの疑問をを除けば)切り立った感はあるが,これは 『某断』 なのである。裁断・判断・決断など 『某断』 は何かをさばいている感じである。
つまり 『こんもりとした盛り土の上に陣取り,何かをさばくこと』 としたほうがすんなりイメージがわく。そこで自分に都合のよい裁定を行って 『利益を独占する』 という意味がぴたりとはまる。

孟子は魯の宰相の世襲を 『壟断』 であると批判してこの例え話を持ち出した。お山の大将が利権を独占しそれを身内に引き継いでいく図は今も変わらない。世襲然り,天下り然りである。ただしその山は性善説を以てする孟子には必ず低いのである。



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