2009年02月12日
(あ)安(あん)に居て危(き)を思う
「安に居て危を思う国民の貯えのおかげで,この危機をしのいでるんだ。政治の手柄でも何でもない」
「日本は1999年に7兆円余の金融機関支援を行っていたから,今回の金融危機の被害を最小限に食い止めることができた。」などと詭弁を弄する者たちがいる。彼らが2009年度の緊急経済対策ではさらに62兆円を金融機関支援に使おうとしている矛盾はすでに示した。
危機をしのいでいる本当の力は,『敗戦の何もない状態から一念発起し,不屈の意志で復興をとげた先人たちの努力の結果,すなわち家計の金融資産』の力なのである。
安に居て危を思う(あんにいてきをおもう):
平和なときにも,危機に対する備えを忘れないようにすること。
安=平和。平安。危=危険。危難。
『安に居て危を思い,思えば則(すなわ)ち備えあり,備えあれば患(うれ)いなし。』春秋左氏伝
(新明解故事ことわざ辞典)
日本銀行調査統計局の資金循環表(2008年12月16日)によれば,2008年9月の家計の金融資産は1,467兆円である。
内訳は預金736兆円,証券220兆円,保険・年金準備金402兆円他である。
このところ「国の借金は846兆円に増えて国民一人当たり663万円になった」というニュースが新聞をにぎわせているが,全くの見当違いである。
証券分の220兆円が紙くずになるだけで,国の借金の肩代わりも倒産した株式会社の清算も済んでしまう,筈である。
(証券はリスクの有限責任であるのだから)
問題は預金や保険・年金で集めた金を銀行などの金融機関が,国を含めてどこへどれだけ貸しているかである。
銀行がつぶれたらペイオフ分しか戻ってこないので,お金持ちには頭の痛い問題であるが,幸い庶民には縁のない話である。
だが,税金が真っ先に金融機関の救済に使われる現在の経済政策は,大変不愉快である。
さて,「景気は気のもので,貯蓄を消費や投資にまわせば景気は回復する」とのたまう政治家や経済評論家が後を絶たない。
内閣府の国民経済計算(2008年12月25日)によれば,2006年度と2007年度の比較では,国民所得は0.3%の微増であるが,貯蓄率は4.0%から2.2%へ大幅に下降している。
2008年はさらに悪化していると思われる。
『貯金を取り崩して生活している』というのが現実なのである。
いったい,貯蓄はいくらあれば安心できるのだろうか。
先人の知恵を借りることにする。
『(飢饉や戦争に備えて)国家に9年分の備蓄が無い場合は「不足状態」である。6年分なければ「緊急事態」である。3年分なければ「国家とは言えない」...』
2007年度の数字で検証してみよう。
貯蓄:家計金融資産1,467兆円から負債384兆円を引いて1083兆円
支出:家計最終消費支出285兆円
1083÷285=3.8年分
ぎりぎり国家の体を保っているようである。
-----------------------------------------------------------------------------------------
【國無九年之蓄曰不足,無六年之蓄曰急,無三年之蓄曰國非其國也。】禮記王制
「日本は1999年に7兆円余の金融機関支援を行っていたから,今回の金融危機の被害を最小限に食い止めることができた。」などと詭弁を弄する者たちがいる。彼らが2009年度の緊急経済対策ではさらに62兆円を金融機関支援に使おうとしている矛盾はすでに示した。
危機をしのいでいる本当の力は,『敗戦の何もない状態から一念発起し,不屈の意志で復興をとげた先人たちの努力の結果,すなわち家計の金融資産』の力なのである。
安に居て危を思う(あんにいてきをおもう):
平和なときにも,危機に対する備えを忘れないようにすること。
安=平和。平安。危=危険。危難。
『安に居て危を思い,思えば則(すなわ)ち備えあり,備えあれば患(うれ)いなし。』春秋左氏伝
(新明解故事ことわざ辞典)
日本銀行調査統計局の資金循環表(2008年12月16日)によれば,2008年9月の家計の金融資産は1,467兆円である。
内訳は預金736兆円,証券220兆円,保険・年金準備金402兆円他である。
このところ「国の借金は846兆円に増えて国民一人当たり663万円になった」というニュースが新聞をにぎわせているが,全くの見当違いである。
証券分の220兆円が紙くずになるだけで,国の借金の肩代わりも倒産した株式会社の清算も済んでしまう,筈である。
(証券はリスクの有限責任であるのだから)
問題は預金や保険・年金で集めた金を銀行などの金融機関が,国を含めてどこへどれだけ貸しているかである。
銀行がつぶれたらペイオフ分しか戻ってこないので,お金持ちには頭の痛い問題であるが,幸い庶民には縁のない話である。
だが,税金が真っ先に金融機関の救済に使われる現在の経済政策は,大変不愉快である。
さて,「景気は気のもので,貯蓄を消費や投資にまわせば景気は回復する」とのたまう政治家や経済評論家が後を絶たない。
内閣府の国民経済計算(2008年12月25日)によれば,2006年度と2007年度の比較では,国民所得は0.3%の微増であるが,貯蓄率は4.0%から2.2%へ大幅に下降している。
2008年はさらに悪化していると思われる。
『貯金を取り崩して生活している』というのが現実なのである。
いったい,貯蓄はいくらあれば安心できるのだろうか。
先人の知恵を借りることにする。
『(飢饉や戦争に備えて)国家に9年分の備蓄が無い場合は「不足状態」である。6年分なければ「緊急事態」である。3年分なければ「国家とは言えない」...』
2007年度の数字で検証してみよう。
貯蓄:家計金融資産1,467兆円から負債384兆円を引いて1083兆円
支出:家計最終消費支出285兆円
1083÷285=3.8年分
ぎりぎり国家の体を保っているようである。
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【國無九年之蓄曰不足,無六年之蓄曰急,無三年之蓄曰國非其國也。】禮記王制
(京)驚天動地(きょうてんどうち)
(す)隋珠和璧(ずいしゅかへき)
(せ)井蛙(せいあ),千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以て潰ゆ
(も)木鷄(もっけい)
(ひ)貧時(ひんじ)の交わり
(ゑ)遠慮なければ近憂(きんゆう)あり
(す)隋珠和璧(ずいしゅかへき)
(せ)井蛙(せいあ),千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以て潰ゆ
(も)木鷄(もっけい)
(ひ)貧時(ひんじ)の交わり
(ゑ)遠慮なければ近憂(きんゆう)あり
Posted by ゴンチ at 23:43│Comments(2)
│故事成語
この記事へのコメント
私は貧乏人。貯金を取り崩しての生活。
銀行の低預金金利では先心配と、投資信託に預けたけど(貧乏なるが故のあさはかさ)今は完全塩漬け。息をしているだけで取られる住民税がきつい!
銀行の低預金金利では先心配と、投資信託に預けたけど(貧乏なるが故のあさはかさ)今は完全塩漬け。息をしているだけで取られる住民税がきつい!
Posted by かあかあ at 2009年02月13日 20:05
>かあかあさん
いつも見ていただきありがとうございます。
庶民(すいません,かあかあさんを勝手に庶民の仲間にしています)の弱みに付け込んで金を巻き上げる輩の多いことといったら。
振り込め詐欺は言うに及ばず,除霊やお守を売るインチキ占い師,絶対儲かる天才相場師..投資信託,そして税金ですかね。
共通点は「不安の煽り」です。
そして格差はさらに拡大していきます。
いつも見ていただきありがとうございます。
庶民(すいません,かあかあさんを勝手に庶民の仲間にしています)の弱みに付け込んで金を巻き上げる輩の多いことといったら。
振り込め詐欺は言うに及ばず,除霊やお守を売るインチキ占い師,絶対儲かる天才相場師..投資信託,そして税金ですかね。
共通点は「不安の煽り」です。
そして格差はさらに拡大していきます。
Posted by ゴンチ
at 2009年02月14日 00:45
