2009年02月10日
(え)英雄
「ご当人はバッシングに耐える『英雄』気取りだが,もとはといえば自分で蒔いた種なんだよな」
英雄(えいゆう):
文武の才の卓絶した人物。才知・武勇の人にすぐれた者。(広辞苑)
「英雄」の言葉ががよく使われるようになるのは漢以降である。
漢書には『漢が興(おこ)り,高祖(劉邦)は自ら神武の材となり,寛仁に厚く行い,英雄を総覧して,秦と項(羽)を討った。』
とある。
それ以降よく使われるようになり,後漢書では『(魏の)曹操(そうそう)が「清平の姦賊,乱世の英雄」と言われて大いに喜んだ』とある。
曹操を評して,「治世の能臣,乱世の奸雄」,「乱世の英雄,治世の姦賊」とする文献もある。
春秋戦国時代にはなぜか「英雄」の語は一度も出現していない。
その前の周代に一度だけ出現して,六韜に英雄になるための素養が書かれている。
長文であるがご容赦願う。
『(周の)武王が太公に問う。
「王者が兵を挙げるには,英雄を選び出して訓練する必要があるが,どうやって士の優劣を知ることができるのか?」
太公は答える。
「士には外見と心がけが違う者の例が十五あります。
①厳格そうだが不肖(おろか)である
②まじめそうだが盗みを働く
③つつしみ深そうな顔だが慢心している
④謙虚だが誠実さがない
⑤よく動くが志がない
⑥落ち着いているように見えるが重みがない
⑦会議をしても決めない
⑧押しは強いが実行力がない
⑨愚直だが信頼感がない
⑩悠々としているが忠実でない
⑪言うことは過激だが人真似をする
⑫見かけは勇敢だが内心は臆病である
⑬うやうやしく振舞うが素直でない
⑭きびしくやかましいがつつしみがない
⑮勢いがなく立ち居振る舞いもまずければ行くところがなく成功もしない」..』
①から⑮にあてはまらない士を選びだし訓練して,はじめて王者の挙兵を助ける英雄となりうると言うのである。
英雄になるためのハードルはとても高いようだ。
そして,現代でも十分に通用する人物評価の手法である。
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【漢興,高祖躬神武之材,行寬仁之厚,總攬英雄,以誅秦、項。】漢書刑法志
【曹操微時,常卑辭厚禮,求為己目。劭鄙其人而不肯對,操乃伺隙脅劭,劭不得已,曰:“君清平之姦賊,亂世之英雄。”操大悅而去。 】後漢書郭符許列傳
【武王問太公曰:“王者舉兵,欲簡練英雄,知士之高下,為之奈何?”
太公曰:“夫士外貌不與中情相應者十五:有嚴而不肖者;有溫良而為盜者;有貌恭敬而心慢者;有外廉謹而內無至誠者;有精精而無情者;有湛湛而無誠者;有好謀而不決者;有如果敢而不能者;有悾悾而不信者;有怳怳惚惚而反忠實者;有詭激而有功效者;有外勇而內怯者;有肅肅而反易人者;有嗃嗃而反靜愨者;有勢虛形劣而外出無所不至、無所不遂者。天下所賤,聖人所貴;凡人莫知,非有大明不見其際,此士之外貌不與中情相應者也。” 】六韜選將
英雄(えいゆう):
文武の才の卓絶した人物。才知・武勇の人にすぐれた者。(広辞苑)
「英雄」の言葉ががよく使われるようになるのは漢以降である。
漢書には『漢が興(おこ)り,高祖(劉邦)は自ら神武の材となり,寛仁に厚く行い,英雄を総覧して,秦と項(羽)を討った。』
とある。
それ以降よく使われるようになり,後漢書では『(魏の)曹操(そうそう)が「清平の姦賊,乱世の英雄」と言われて大いに喜んだ』とある。
曹操を評して,「治世の能臣,乱世の奸雄」,「乱世の英雄,治世の姦賊」とする文献もある。
春秋戦国時代にはなぜか「英雄」の語は一度も出現していない。
その前の周代に一度だけ出現して,六韜に英雄になるための素養が書かれている。
長文であるがご容赦願う。
『(周の)武王が太公に問う。
「王者が兵を挙げるには,英雄を選び出して訓練する必要があるが,どうやって士の優劣を知ることができるのか?」
太公は答える。
「士には外見と心がけが違う者の例が十五あります。
①厳格そうだが不肖(おろか)である
②まじめそうだが盗みを働く
③つつしみ深そうな顔だが慢心している
④謙虚だが誠実さがない
⑤よく動くが志がない
⑥落ち着いているように見えるが重みがない
⑦会議をしても決めない
⑧押しは強いが実行力がない
⑨愚直だが信頼感がない
⑩悠々としているが忠実でない
⑪言うことは過激だが人真似をする
⑫見かけは勇敢だが内心は臆病である
⑬うやうやしく振舞うが素直でない
⑭きびしくやかましいがつつしみがない
⑮勢いがなく立ち居振る舞いもまずければ行くところがなく成功もしない」..』
①から⑮にあてはまらない士を選びだし訓練して,はじめて王者の挙兵を助ける英雄となりうると言うのである。
英雄になるためのハードルはとても高いようだ。
そして,現代でも十分に通用する人物評価の手法である。
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【漢興,高祖躬神武之材,行寬仁之厚,總攬英雄,以誅秦、項。】漢書刑法志
【曹操微時,常卑辭厚禮,求為己目。劭鄙其人而不肯對,操乃伺隙脅劭,劭不得已,曰:“君清平之姦賊,亂世之英雄。”操大悅而去。 】後漢書郭符許列傳
【武王問太公曰:“王者舉兵,欲簡練英雄,知士之高下,為之奈何?”
太公曰:“夫士外貌不與中情相應者十五:有嚴而不肖者;有溫良而為盜者;有貌恭敬而心慢者;有外廉謹而內無至誠者;有精精而無情者;有湛湛而無誠者;有好謀而不決者;有如果敢而不能者;有悾悾而不信者;有怳怳惚惚而反忠實者;有詭激而有功效者;有外勇而內怯者;有肅肅而反易人者;有嗃嗃而反靜愨者;有勢虛形劣而外出無所不至、無所不遂者。天下所賤,聖人所貴;凡人莫知,非有大明不見其際,此士之外貌不與中情相應者也。” 】六韜選將