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Posted by 滋賀咲くブログ at

2009年02月16日

(め)面従(めんじゅう)

「面従腹背(めんじゅうふくはい)は官僚のお家芸だった筈だが,最近は反抗的だね。相当こたえてるんじゃないか?」

面従腹背(めんじゅうふくはい):
うわべだけは服従しているように見せかけて,内心では従わずに反抗していること。
(新明解故事ことわざじてん)

「腹背」以外にも「面従」につく「背」と「腹」は多い。
__背否(はいひ),背毀(はいき),腹誹(ふくひ),
背がつくときは,面を「顔を向ける」意味ととり,
腹がつくときは,面を「表情に出す」意味にとっているようだ。
どちらも「見えない」ということで一致している。
「腹背」とは背を向けて,腹の中でと,陰湿さは最高潮である。

面従の語源は夏(か:紀元前2070年)にさかのぼる。

面従後言(めんじゅうこうげん):
その人の面前では服従するように見せかけて,かげでは悪口を言うこと。
面従=人の前でだけ服従すること。
後言=かげで非難すること。
舜(しゅん)帝が,臣の禹(う)に言ったことば。出典には,
『予(われ)違わば汝(なんじ)弼(たすけよ)。
汝,面従し退(しりぞ)きて後言(こうげん)有(あ)ることなかれ。
(私が道にそむいたら,お前はそれを正して私を助けてくれ。
私の前では服従し,かげで私を非難するようなことはするな。)』書経
(新明解故事ことわざじてん)

禹は,『禹行(うこう)』の語源ともなっている,中国全土の灌漑・治水を行った夏王朝の始祖である。
『職務のため13年間1度も家に戻ることなく全国を駆け回り,自宅の前を通りかかっても休息すらしなかった。』
ほどの人物でさえ,「面従後言」を疑われた。
だが禹は,自らの行(ぎょう:おこない)によって,それを払しょくしたのだ。 

さて,冒頭の文にもどろう。
天下り渡りの親玉から,居酒屋タクシーの小者まで,駆け回りに行儀の悪いものが勢ぞろいである。
隠れた「腹背」どころか目に余る。
しかし中には「禹行」を旨とする憂国の志も居るに違いない。
彼らが自ら悪人を退治し,行いによって信頼を回復することを切望するのである。  


Posted by ゴンチ at 22:45Comments(0)故事成語